2024-05-04 魔的. 飛べないことを知らない連中が飛んでいるんだよ―――スカイクロラへの序章にして慣性系の森博嗣氏始動。 物語が沸き立ち、静かに消え、そこに遺る。痛いほど孤独で、痛いほど純粋で。 森博嗣氏唯一の詩集。 詩的な文章を描く彼にとっては、きっと想像を絶する未来をずっとリアルに予感していた。巨大にして壮大、静かで矮小な、気品に酔いしれ、上品とは何かを感じさせる薬膳のような言葉達にふっと心に刺さる。現代の作家と言うには早すぎた過去に、そっと心を浮かべた。こんな本を読むときは、そっとロックグラス片手に氷をマドラーで頂きたいものだ。 魔的 (中公文庫) 作者:森博嗣 中央公論新社 Amazon